PHASE ONE P45 、3900万画素ビックセンサーのデジタルバックがついに発売されました。外見上は、P25と全くと言ってよいほど同じです。背面のP45の文字以外に見分けがつきません。そもそも、PHASE ONE P25開発時から高画素センサーの搭載できるように設計がされていたようで、KODAK社の3900万画素センサーの発表から、わずかな時間で製品化されてきました。また、PHASE ONE P45と、同時にP30及びP21も発表されました。(P30は、3100画素で、センサーサイズがP45にくらべ一回り小さくなり、中版カメラボディ専用でモアレレス機能を搭載したモデルです。ファッションなど洋服のモアレなどが気になる撮影には向いているのではと思いますが、実機で撮影してみないとどの程度かは判断出来かねますが・・・。P21は、1800万画素のCCDセンサーを搭載して、1分間に60フレームの撮影が可能です。)
私の手元にきた P45は、シリアル番号も10300番台に達している製品だったので、そこそこ安定しているのではと思い早速テストしてみました。まずは、各カメラへの接続ですが当社のPHASE ONE 仕様可能なカメラ(別表)は、問題無く作動しました。Macintoshとのオンライン接続撮影も PowerMac G5 (Capture One 3.7.3)では特にトラブルもなく、PHASE ONE社 推奨外であるiMac G5 2.0G/17'とPowerBookG4 12'(1.5Gモデル)も動作しました。ただし、PowerBookG4での接続の場合、FierWierからの電源の供給が低いため P25同様、液晶付きのPHASE ONEでは本体のバッテリーで駆動させなくてはなりません。(PowerBookの電源で動かすと電圧不足で転送画像にノイズが入ったり、最悪の場合は、真っ黒な画像しか転送されない場合があります。)P25では、FierWierケーブルを、6ピン--4ピンの物を近い一度電源供給を絶ちきりなおかつ4ピン-6ピン変換アダプター(エレコムなどから出ています)を繋ぎP25に接続してデータ通信のみを認識させなければなりませんでした。しかし、P45からは、背面液晶での設定でパワーを、パソコン(AUTO)か、バッテリーかを選ぶモードがあるので、不安定なFierWierの接続をしなくてすむようになりました。(P25は、ファームアップしてのこの機能が付かないとの情報です。)
PHASE ONE P45のカメラ動作情報
PHASE ONE P45の操作感は、まったくと言ってよいほどP25と変わりません。撮影感覚のデータサイズが約2倍弱の割には、P25と同等な撮影が可能です。オフライン時の撮影では、IIQ raw L(圧縮モード)で、2GBのCFカードに約47枚位は保存できました。撮影間隔は、約1.5秒位で6枚連写できました。バッファーメモリの解放には場合にもよりますが、15秒から30秒はかかります。P45が発売されて間もない頃に、意外とモアレが出ないなどと一部で噂が出ましたが、P25(2200万画素)のセンサーよりP45(3900万画素)の方が画素ピッチが小さいために、P25と同じ位置からだとモアレはおきませんが、根本的なセンサーの構造は同じですので、ある一定の条件が合えば必ずモアレは起こります。カラーモアレに関しては、CapterOne3.7.2より、モアレ除去機能が搭載されましたので、モアレの出ている部分のみを別途処理入りで現像して元データに重ね合わせれば多少は軽減されます。硬度モアレについては、残念ながら対策されていません。この点はセンサーにマイクロレンズの付いた、P30の方がかなり有されていると聞いています。
7230×5428ピクセルのP45の画質は、高細密な画像です。100%で見るとさすがと言う感じですね。また、現状のプロファイルですと、今までのPHASE ONEシリーズと比べると、少々発色がおとなしい感があります。今までのようなパッと見の鮮やかさにはやや欠けていますが、その分特にシャドー部などの階調表現は随分良くなったかと思います。どちらかと言うと、これまでのイマコンや、リーフのような感じでしょうか。これにより、現像後のカラー調整にかなり幅が出てきたように見受けられました。現像後にレタッチ以外の色調整をされる場合には、今回のPシリーズは良いのではないでしょうか。しかし、これについてはいろいろな意見が出ているのも確かです。フォトグラファーが、撮影しながらデザイナーやクライアントにプレゼンする場合には不向きですし、一方では画像処理のオペレーターなどから、調整しやすい画像だという評価も聞いています。PHASE ONE社でもいろいろな声に対応するために、カメラのルックプロファイルを追加するなどしていますので、使用時の状況に応じた設定での使い分けが必要だと思います。
Capture Oneで、P45の現像処理はPowerMacG5_2.5GDPで、約55秒(16bit)だったのに対し、同マックでP25の現像処理が32秒なのでデータ量に比例したものとなっています。しかし、現像データが16bitで1ファイル224MBもの大きなデータになるため、画像処理をする際にはかなり高速なMacが必要かと思われます。(遅いMacでは出来ないことはないのですが、作業効率が悪くなります。)私の2.7G DPでも、レイヤーを数枚重ねたり、かなり重いフィルター処理をすると処理速度が(仮想メモリーを沢山使うため)遅くなってしまいます。将来的に、現状のPowerMacG5に変わるより高速な Intel CPU 搭載のハイエンドMacと、Photoshop CS3の登場が待ち遠しいてすね。その頃には、645フルサイズのセンサーの噂も出ているかもしれませんが・・・・バックタイプもどこまで行くのかまだまだ解りませんね。
昨今のデジタルカメラは、センサーの性能や現像ソフトやパソコン周りの性能向上と共に画像の質もかなり良くなってきました。現像してほぼそのままの画像データでも納品可能かもしれませんが、やはり Professional Photographer である以上、より高品質デジタル画像を追求していかなければならないと思います。それが、デジタル時代のProfessional Photographerの行くべき道ではないでしょうか?
P45/P25比較作例
HASSEL BLAD 555ELD + CFi120mm + P45(F8_1/125s_ISO50)
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HASSEL BLAD 555ELD + CFi120mm + P25(F8_1/125s_ISO50)
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P45_100%部分画像 |
P25_各画像に100%部分画像 |
P45 作例
HASSEL BLAD 555ELD
Planr CFi120mm_ISO50_F11_125s_ストロボ撮影 画像データに100%部分画像がリンクしてあります。 |
HORSEMAN_SW-D_Pro
Schneider_24mmDigiter_IOS50_F11_4s |
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HORSEMAN_DigiFlex2
/ 有効画素=3762×5598pixel
Nikon_AF-S17-35mm_D F2.8 (17mm) /ISO50_F11_2s |
HASSEL BLAD 503CW
Sonnar CFi180mm_IIQ raw L_ISO100_F5.6_1/125s 画像データに100%部分画像がリンクしてあります。 |
HASSEL BLAD 503CW
Planr CFi120mm_IIQ raw L_ISO50_F8_1/125s 上の画像をさわると、100%部分画像が表示されます。 |
Captur One 3.7.3 デベップ比較
PHASE ONE P45のRAWデータ(非圧縮77.1MB/IIQrawL37MB〜43MB)をデベロップすると、8bitで112.7MB・16bitでは、224.6MBと巨大なファイルデータとなります。P45対応のCaptur One 3.7.3を複数のMacでデベロップ時間の比較をしてみました。(あくまで参考値です。)
P45
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P45(IIQrawL)
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P25
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PowerMacG5_2.5Dual |
55s
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70s
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30s
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iMacG5_2G |
112s
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165s
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63s
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PowerBookG4_12'_1.5G |
190s
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230s
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100s
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Mac mini_intel CoreDuo1.66G |
210s
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235s
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105s
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すべてのデータを、16bitでレンズチャストを適応しデベロップしました。
最近発売された、intel CoreDuoプロセッサー搭載のMac miniも今回テストできましたが、Captur One 3.7.3がまだintelプロセッサーにネイティブ対応をしていないため予想どおりの結果とはなりましたが、動作に関しては問題ありませんでした。オンライン撮影も通常どおり撮影出来ました。P45のデータ量の画像のデベロップには、やはり高速なMacでないとかなりストラスを感じるのはしかたないと思います。データが大きいだけに作業効率は多少犠牲になりましが、画像のクオリティーは違います。撮影に応じても使い分けが必要だと思います。
N,PhotoWorks 永坂 2006.3.19
Captur One 3.7.4 (intel Mac universal)
Captur One 3.7.4 (intel Mac universal) 版が、PHASE ONEのサイトにアップされましたので、Mac mini _intel CoreDuo1.66Gにインストールしてデベロップ時間を計測してみました。
P45
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P45(IIQrawL)
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P30
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P25 | P21 | P21(IIQrawL) | |
Mac mini_intel CoreDuo1.66G |
85s
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110s
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57s
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40s
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28s
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29s
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Mac mini_intel CoreDuo2.0G____*1 |
49s
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55s
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43s
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32s
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23s
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24s
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MacBook Pro_intel CoreDuo2.16G |
50s
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53s
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43s
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33s
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18s
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22s
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PowerMacG5_2.5 Dual |
45s
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60s
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35s
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33s
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20s
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20s
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PowerMacG5_2.5 Quad |
26s
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27s
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22s
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24s
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13s
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14s
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PowerMacG5_2.5DualでのCapturOne3.7.4のデベロップは、旧バージョンにくらべスピードが少しあがっていました。intel universal版になって事もあり、Mac mini_intel CoreDuo1.66Gでは、3.7.3のiMacG5よりも早い数値をたたき出していました。特にP21のIIQrawL時のデベロップは非圧縮時とほぼ同等の時間でデベロップが完了しました。また、3.7.3と比べシャープネスのデフォルト値が変わったため(3.7.3がやや甘かった)かなりシャープな画像になっています。また、現在ノートマックで最速の MacBook Pro CoreDuo 2.16GHzのモデルと、ディスクトップ最速の PowerMacG5 2.5Quad も比較してみました。さすが、2.5Quadのスピードはどのマシンもかないませんが、MacBook Pro CoreDuo 2.16GHzのモデルは、PowerMacG5_2.5Dualに肉薄するタイムを刻んでいます。
*1_Mac mini intel CoerDuo1.66GのCPUを、CPU単体市販のCoerDuo2.0Gに交換したものです。CPU交換は可能ですが、この改造作業はアップル非公認のためメーカー保証はうけられなくなります。
PHASE ONE 新Pシリーズ画像比較
急遽、PHASE ONE P45 / P30 / P21の同条件での比較撮影が出来ましたので画像をアップいたしました。
PHASE ONE P45 _(3900万画素)ISO50
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PHASE ONE P30 _(3100万画素)ISO100
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PHASE ONE P21 _(1800万画素)ISO100
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PHASE ONE P25 _(2200万画素)ISO50
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100%部分画像
PHASE ONE P45 _(3900万画素)ISO50 |
PHASE ONE P30 _(3100万画素)ISO100 |
PHASE ONE P21 _(1800万画素)ISO100 |
PHASE ONE P25 _(2200万画素)ISO50 |
使用カメラは、HOSSEMAN X-Act-D _Schneider Digitl 120mm _ F11_1/125s_光源ストロボ1灯
各センサーごとにホワイトバランスとレンズキャストを適応してあります。ピントとカメラ位置は固定でセンサーのみを付け替えました。絞り値もF11で固定し、ストロボのバリエータで露出調整しました。デベロップは、CapterOne3.7.4RC1のデフォルト設定です。
N,PhotoWorks 永坂 2006.3.25